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よくあるご質問

Q

執行官の身分について教えてください。

A

各地方裁判所に置かれている裁判所の職員で、特別職の国家公務員です。

Q

執行官は、どのような仕事をするのでしょうか?

A

主な仕事としては、「不動産の競売手続きなどにおける不動産の現況調査」「家財道具や宝石などの動産に対する強制執行」「不動産の引渡の強制執行」「保全命令手続きの執行」などがあります。

Q

執行官は何人で職務を行うのですか?

A

執行官は、執行官自身が一つの司法機関であり、原則として一人で職務を行います。

Q

動産に対する強制執行はどのようにして行われるのでしょうか?

A

動産に対する強制執行は、執行官が目的物を差し押さえることによって開始されます。「差押」は、執行官が債務者の住居その他、債務者が占有している場所に立ち入って動産を執行官の占有に移すことによって行います。「執行官の占有に移す」とは、動産を実際に執行官が保管する場合と動産に封印をして、債務者や第三者に保管させる場合があります。執行官は、この「差押」に際して、強制的に債務者の住居棟に立ち入り、金庫等について目的物を捜索することができます。

Q

不動産の明渡し、引渡しの強制執行の手続きは、どのような手順で行われますか?

A

不動産の明け渡し、引渡しの強制執行は、執行官による占有の移転を執行方法とする手続きです。その手順は、おおむね、①強制執行の申し立て→②事前準備→③催告手続きの実施→④強制執行の実施(断行)→⑤目的外動産の処理となります。

Q

不動産の明渡しまたは引渡しの強制執行の申立ての際にはどのような書類等が必要なのでしょうか?それは、執行対象によって異なりますか?

A

強制執行申立書に、執行力ある債務名義の正本(民事執行規則21条)、債務者に対する債務名義の送達証明書等を添付するとともに、手数料および強制執行費用の概算額を予納する必要があります(執行官法15条)。
執行対象により、添付書類が異なることがあり、また、執行官から情報提供の協力を求められる場合もあります。

Q

不動産の引渡し命令とは、どういうものですか?

A

競売での買受け人に、簡易迅速(訴訟を提起して判決を得ること等と比較して)に不動産の占有を確保できるよう、代金を納付した買受人の申立てにより、執行裁判所が、債務者(所有者)又は、一定の占有者にたいして、競売不動産を買受人に引き渡すべきことを命じる裁判です。
 引渡し命令の申し立て書を裁判所に提出すると、原則として競売事件の記録に基づいて判断され、認められると引き渡し命令が発令されます。
 なお、債務者(所有者)又は一定の占有者が引き渡し命令を受け取っても自発的に退去しない場合は、引渡し命令に執行文付与と送達証明を受けて、執行官への明渡し執行の申立てをすることになります。

Q

不動産の引渡し命令の申立ては、いつまでにしなければならないのですか?

A

引渡命令の申し立て期間は、①代金を納付してから6カ月間です。ただし、その期間は、②民法395条1項により明渡猶予が認められる者が占有している場合には9カ月間となりますが、その占有者については、6か月間の明渡猶予期間が認められるので、実質的な引渡命令の申立て期間は、明渡し猶予期間の満了した日の翌日から3カ月間となります。なお、建物使用者が建物を使用したことの対価を1ヶ月分以上支払わなかったときで、相当の期間を定めて支払いを催告しても、支払いがなかった場合には、明渡し猶予期間の6カ月を経過する前でも申立てをすることができます。
 申立期間を経過した場合は、通常の明渡を求める訴訟や調停などの申立てをして、建物の明け渡しを求めることになります。

Q

引渡命令の申立てから実際に明け渡しの強制執行をするまでに、どのくらいの日数が必要ですか?

A

事案によっては引渡命令の送達に時間がかかったり、執行抗告(引渡命令に対する不服申し立て)が提起されたりする場合があって一概には言えませんが、およそ、2か月程度です。

Q

不動産の引渡しまたは明渡しの強制執行の申立て後、明渡しの催告と断行という手続きが行われますが、断行実施日までの間に、債権者側で留意すべき点は何でしょうか?

A

催告前においては、債務者に関する情報、例えば債務者の占有の状況、年齢、家族構成等を調査して執行官に報告すること、催告後断行実施日までの間においては、可能な限り、債務者と面談するなどして債務者の最新の占有状況を把握し、債務者が残した動産の搬出・保管方法(搬出作業員・倉庫等の準備)に関して執行官に報告することが重要です。

Q

明渡しの催告はどのような方法でなされるのでしょうか?また、催告が行われた場合はどのような効果が発生するのでしょうか?

A

明渡しの催告とは「不動産などの引渡し又は明渡しの催告をいう」と規定されており、具体的には、執行官が執行場所に臨場し、債務者が目的不動産を占有していることを認定し、断行日を定め、債務者に対し、断行日までに任意に目的物件を明け渡すよう催告することであり、同時に、催告した旨および引渡し期限等を記載した公示書をその不動産の所在場所に掲示します。
これによって、催告後に占有の移転があっても、引渡し期限が経過するまでの間は、その占有者に対して、承継執行文の付与(民事執行法27条2項)を要することなく強制執行をすることができます。(引渡期限内はいわゆる当事者恒定効が働きます)
また、債務者が任意に退去し円滑な明渡しをすることが期待できます。 さらに、催告時に実際の占有状態が確認できて、明渡断行の準備ができる点、任意退去の可能性も高まる点から、強制執行の費用等の面で利益に働くことが少なくないと思われます。

Q

執行官が職務を行う現場での債務者などの対応はどのようなものでしょうか?

A

執行官は、債務者の意に反して一方的かつ直接的にその生活等に重大な影響を及ぼす行為を行うため、債務者などの関係者の協力が得られなかったり、債務者などから様々な妨害を受けることが日常茶飯事です。

Q

執行妨害には、どのような事例がありますか?

A

①店舗内で動産の仮差押えの執行中に、債務者が店舗内にガソリンをまいたうえ、ライターで点火して建物を燃やし、その場にいた執行官と債権者などにやけどを負わせた事例
②動産執行に赴いた債務者宅で差押えをする動産を特定している最中に、債務者の息子が文化包丁を振りかざして、その場にいた執行官および債権者などに包丁を突き付けた事例
③建物を収去して土地を明け渡す執行において債務者が廃材などを運び出す通路をトラックでふさいだ事例
④建物を明け渡す執行中に、執行官が両手で所持していた記録を債務者が地面にたたき落とした事例

Q

債務者などの執行妨害が予想される場合、または現場において、現に執行が妨害された場合には、執行官はどのように対処するのですか?

A

執行官は、職務の執行において、警察上の援助を求めることができると規定されています。執行官も債務者などに対して説得に努めますが、執行官は公安職ではありませんので、債務者などが説得に応じないような場合は、警察に援助を求めて、その助力のもと、平穏かつ円滑に職務を執行することになります。(参考条文 民事執行法6条2項)

Q

執行官は、どのようにして警察に援助を求めるのでしょうか?

A

執行官が警察に援助を求める方法については、警察庁との協議によって次のとおりとなっています。
①執行官は、職務の執行に際して、抵抗を受けることが予想されるときは、あらかじめ、その事由を職務の執行場所を管轄する警察署の署長に通知します。
②執行官が職務の執行に際し、抵抗を受けたときは、職務の執行場所を管轄する警察署の署長に対して、警察上の援助を求めることができます。ただし、職務の執行場所を管轄する警察署の署長に対して、警察上の援助を求めるいとまがない場合は、110番通報をしたり、直接最寄りの交番等の警察官に口頭で要請する場合もあります。
③執行官が警察上の援助を受けた場合、証人として相当と認められる者を立ち会わせなければなりません(民事執行法7条)。その場合は、警察官以外の者を証人として立ち会わせるのが妥当です。
④なお、警察官の行う援助は、あくまで、執行官の職務執行に対するものですので、執行官の職務執行の範囲に限定されます。ただし、犯罪が行われた場合、または、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、警察官は独自の権限で必要な措置を採りうることになります。
(昭和55年8月18日 警察庁警備局長回答)

Q

債務者が高齢者や病人であった場合にはどのように対処するのですか?

A

債務者が身寄りのない高齢者や寝たきりの病人等で、執行を断行すると債務者の身体、生命に対して現実的、具体的な悪影響を及ぼすことが予測される場合に、その転居先の確保や保護等について措置を講じないままに執行を断行すれば、過酷な執行として違法と評価される場合もあります。従って、このような場合には執行裁判所だけではなく、執行官も、債務者の転居先の確保や保護等について福祉関係の官庁等に対して援助を請求することができるようになりました。これにより、事案に応じた適切な対処や迅速な対応が可能となり、より円滑な執行が実現できる制度が整いました。その結果、執行官の権限は強化されましたが、その責任も重大となっています。
(民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律)平成17年4月施行

Q

建物明渡しの債務名義により執行申立てをしましたが、執行場所に債務者の家族や使用人がいる場合も、それらの同居人を退去させることができますか?また、執行官が明渡しの催告した後、債務者は任意に退去したのですが、その家族や同居人がいる場合はどのようになるのでしょうか?

A

建物明渡しの執行の際、執行場所に債務者の家族や使用人がいる場合、執行官は、通常、それらの同居人に対しても建物から退去させることができます。また、執行官が、明渡しの催告をした後、債務者は、任意退去したが、その家族や使用人が残っている場合も、通常であれば、占有補助者として、それらの者を退去させることができます。
占有補助者とは、占有者の指示に従って、あたかもその手足となって目的物を使用するにとどまり、独立した占有が認められない者をいいます。 占有者である債務者の家族、使用人など、占有者との間に身分関係があるとか、雇用関係がある場合などは、通常、占有補助者と認められることが多いと思われます。
以上に対して、債務者の家族、使用人等であっても、賃貸借契約を締結して独自の権原で建物内の独立した部分を占有しているような場合には、改めてこれらの者に対する債務名義がなければ執行することはできません。

Q

甲に対する建物明渡しの債務名義により建物明渡しの強制執行を申し立てましたが、実際にはその建物を、甲・乙が共同して使用していることが判明しました。この場合、上記債務名義で、甲・乙両名に対し明渡し執行を行うことができますか?

A

その建物を甲・乙が共同で占有していると認められる場合、甲のみに対する建物明渡しの債務名義では、甲・乙両名に対する明渡し執行を開始することはできません。しかし、乙が甲から独立した占有を有すると認められない場合は、甲のみに対する明渡しの債務名義によって、乙に対しても明渡し執行を行うことができます。

Q

明渡しの催告の際には、目的建物に債務者が居住していましたが、催告後、債務者が任意に退去して、動産を放置している場合は、執行はどのように行いますか?債務者が任意に退去しないで断行時にも居住している場合はどうですか?

A

債務者が断行時までに任意退去している場合、断行時に居住している場合のいずれであっても、目的建物内に明渡執行の目的でない動産(以下「目的外動産」といいます)が存在しているときは、執行官は①債務者にこれを持ち出させるか、②保管すべきものと認められる目的外動産を取り除いて保管したうえで、後に債務者等に引き渡すか(引渡しができないときは売却する)、または③産廃処理をすることになります。また、保管に適さない動産は緊急換価することもあります。
 執行官は、いずれかの方法によって目的外動産を取り除き、目的建物に対する債務者の占有を解いた上で、債権者又は、債権者代理人に引き渡すことになります。

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